ブルーライトって結局なんだろう?

ブルーライトを

最近は、日常的にも「ブルーライト」という言葉が使われるようになりました。

テレワークなどでパソコンやスマートフォンを使用する時間が増えると、ブルーライトが私たちに与える影響が気になりますよね。

わかっているようで、実際のところはどうなのか?
わかっているようでわかりにくい、ブルーライトについてみてみましょう。

ブルーライトとは?

よく耳にするようになったブルーライトとは、文字どおり青い色の光です。

私たちが見ることのできる光は電磁波の一種で、可視光とよばれています。

可視光は380nm~780nm(ナノメートル)の波長の電磁波のことで、私たちはこの波長の電磁波だけを目で見ることが出来るんですね。

ちなみにnm(ナノメートル)は、
1mmの 1 / 1,000,000
の長さです。

目で見ることのできる、780nmよりも長い波長の電磁波を赤外線と言います。
リモコンや自動ドアなどで、赤外線は使われています。

また、400nmから10nmまでの電磁波を紫外線といいます。
日焼けの原因となったり、ブラックライトや殺菌にも使われています。

さらに波長が短くなると、レントゲンなどで使われるX線や、放射線治療で使われるガンマ線とよばれるようになります。

光もX線やガンマ線も同じ電磁波だったんですね。

この可視光の中で、ブルーライトとよばれる光は、380~495nmの波長の青から紫の光のことをいいます。

400nmより短い波長は紫外線となるので、ブルーライトは目に見える光の中でもほぼ紫外線に近い強いエネルギーをもつ光のことなのですね。

ブルーライトはいつから注目されだしたの?

では、なぜブルーライトに注目が集まったのでしょうか?

2018年7月に、アメリカでブルーライトに対する論文が発表されました。
Ratnayake K, et al. Blue light excited retinal intercepts cellular signaling. Scientific Reports volume 8, Article number: 10207 (2018)

この論文では、ブルーライトは光を感じる光感受性の細胞に細胞死を生じさせる可能性があると考えられ、この細胞は再生することが出来ないので、ブルーライトの影響は蓄積され、障害や視力低下が起こるかもしれないと推論しました。

この論文により、ブルーライトによる失明への不安が高まりました。

しかし、この論文では本当に人体に影響をおよぼすかは不明であり、あまりに人々に失明の不安を持ったために、同じ2018年8月に米国眼科学会(AAO)は「スマホからのブルーライトは失明を引き起こさない」と言うメッセージを発表しました。
American Academy of Ophthalmology. No, Blue Light From Your Smartphone Is Not Blinding You. Aug 20, 2018.

ブルーライトは目にダメージを与えるという人がいる一方、ダメージを与えないという人がいる状況です。

ブルーライトの人体にどの程度影響をあたえていくのかは、これからも研究が必要のようです。

ブルーライトの影響について


ブルーライトはスマートフォンやパソコンのモニターのバックライトに多く使われています。

そのため、長時間パソコンやスマートフォンのスクリーンを見つめていると、ブルーライトを見つめ続けることになります。

ブルーライトの影響は大きく、物理的な面と生理的な面が考えられます。

ブルーライトの物理的な影響として、目へのダメージがあげられます。

ブルーライトは目の角膜や水晶体を通過しやすく、奥の角膜まで届きやすい波長の光で、網膜に黄斑変性を引き起こすといわれています。

また、ブルーライトは散乱率も高いため、光が散乱して像がボケやすくなり、ピントのずれが生じ、チラつきや眩しさを感じさせます。これが疲れ目の原因となります。

さらに物を劣化させる紫外線を含んでいるため、お肌の老化などへの影響も懸念されています。

生理的面では、青みがかかった光は脳を活性化させます。
仕事に集中する時はよいのですが、リラックスしたい時や睡眠の前に浴びすぎると、質のよい睡眠をとることが出来なくなってしまいます。

そのため、睡眠不足や疲れが取れなくなってしまい、精神的にも肉体的にも影響を及ぼしてしまいます。

これは、眠くなるメラトニンという物質の分泌を、ブルーライトにも含まれる460nm付近の光が抑制してしまうことによります。
くわしくは、「その不調は照明が原因かも?」も、いっしょに見てみてくださいね。

ブルーライトの影響をふせぐには?

ブルーライトの影響をふせぐには、パソコンやスマートフォンのスクリーンを見る時間を減らすのが一番です。

でも、そう簡単にはいきませんよね。
そこで、手軽にできるブルーライトカットの方法を考えてみましょう。

  • 1、ブルーライトをカットする

ブルーライトカットのメガネが多くのメーカーから販売されるようになりました。
また、パソコンやスマートフォンの画面に貼るスクリーンシートも、色々なバリエーションの物が出てきています。
これらを使い、画面から出てくるブルーライトをおさせて、対策をしてみましょう。

  • 2、画面の設定をかえる

パソコンやスマートフォンの画面設定を変えて、ブルーライトをおさせてみましょう。
画面の明るさ、輝度をおさせることにより光の刺激を小さくすることができます。
また、iPhoneでは「Night Shift」という機能があります。
「設定」から「画面表示と明るさ」にすすみ、「Night Shift」を選択します。
Night Shiftモードでは画面の色温度を変更することができ、ブルーライトの少ない色温度の低い色味に変更することができます。
画面の設定をかえることにより、スクリーンから出てくるブルーライトを減らしてみましょう。

  • 3、眠る前の利用をひかえる

ブルーライトは眠りの質に大きく影響をおよぼします。
眠りにつく2時間前からは、スクリーンを見ることをやめてみましょう。
なかなか寝付けないからといって、ベッドで横になりながらスマートフォンをさわっていては、さらに眠気がおさえられてしまい、眠りにつくことが難しくなります。これでは質の良い睡眠はとてものぞめません。
眠る前はスクリーンを見ることをやめ、部屋のあかりも暗めにして、リラックスした状態で眠気がくるのを待ちたいですね。

ブルーライトが目に与える影響は、まだこれからの研究によるところも多いです。

しかし、眠気に与える影響ははっきりとしており、良い質の睡眠がとれないことによる影響はとても大きなものがあるとわかっています。

ブルーライトに意識をむけて、上手にパソコンやスマートフォンと付きあっていきたいですね。